ウミガメの背中に乗って
初めに
ヤマを張って挨拶します。みなさんこんばんは! AnotherVision11期のうつまと申します。
つい先日までAnotherVision駒場祭公演Prepare Presentsの制作に関わっていました。再演も無事に終わり、みなさんの好評の声にとてもほくほくした気分です。
担当は主にデザインやテキストで、(おそらく私のデザインのことではないだろうと思いつつも)「デザインが可愛い!」という意見は特にありがたく読ませてもらいました。
さて、みなさんとは初めましてだと思うので、まずは自己紹介から始めます。
自己紹介は好きなものについて話すのが鉄板! ということで、私の好きなものを三つ紹介しましょう。
好きな超次元必殺技はアトミックフレア*2で、
以上!
ウミガメのスープとは?
今回私がこの記事で書きたいのは、ウミガメのスープについてです。
端的にまとめると、みんなウミガメのスープやろうぜ!って内容です。
前述した通り、私は大のウミガメのスープ好きです。ウミガメのスープを布教するためにAnotherVisionに入ったと言っても過言ではありません。*4
とはいえウミガメのスープとはそもそも何なのか知らない人もいると思いますので、軽く説明します。
このうち最も有名だと思われる問題が『ウミガメのスープ』であり、これが本のタイトルになったり『世にも奇妙な物語』で実写化されたりして有名になりすぎたため、こういった形式のクイズを総称してウミガメのスープと呼ぶようになりました。
カクレクマノミのことをみんながニモと呼んだりするのと同じですね。
ではそんな有名な『ウミガメのスープ』がどんな問題かというと、
ある男が、とある海の見えるレストランで「ウミガメのスープ」を注文しました。
しかし、彼はその「ウミガメのスープ」を一口飲んだところで止め、シェフを呼びました。
「すみません。これは本当にウミガメのスープですか?」
「はい・・・ ウミガメのスープに間違いございません。」
男は勘定を済ませ、帰宅した後、自殺をしました。 何故でしょう?
出典:
こんな問題です。
解説は面倒なので載せません。
さっきのリンクを飛んでから下の方にスクロールすると読めるので、知らないという人はぜひそれを読んでください。
いいですか?
読みましたね?
解説を読んだみなさん(あるいは解説を読んだことがあるみなさん)はこう思ったでしょう。
は?
普通そんなんで自殺しないだろ!
遭難中にスープなんて凝った料理作れるか!
そもそも部位や調理法が違えば味も簡単に変わるだろ!
みなさんの不満の声が聞こえてきます。おそらく、偏見を恐れずに言えば、『ウミガメのスープ』は、謎クラが最も好きではないタイプの謎です。
謎解きに慣れた人であれば、この問題をこう評すかもしれません。
導線不足だ と。
そう思うのは本当にもっともなことで、私も『ウミガメのスープ』という問題は好きではありません。*5
でも、だからといって、ウミガメのスープというゲームは面白くないなんて決めつけるのは間違いです。少なくとも自分には向いていないなと考えるのだって間違いです。
もしあなたが謎解きが好きなのであれば、きっと、間違いなく、ウミガメのスープにハマることができるはず。
この記事を読んでウミガメ沼の深さに気づいてくれたら幸いだな~と思っています。
ここからは、私の棲み処であるウミガメのスープ投稿サイト『らてらて』のダイレクトマーケティングとなります。
以降で私が述べる情報は、そのサイトにおいてガラパゴス的に進化した、らてらて的ウミガメを基準としたものです。*6
別の界隈のウミガメヤー*7からすると、「あれ、ウミガメってそんなんだっけ?」となるかもしれませんが、あらかじめご了承ください。*8
ウミガメvs謎解き
ウミガメと謎解きの差異に対する分析
ここからは一旦、ウミガメと謎解きの違いについて書いていきます。
謎解きが好きな人の中には、ウミガメのスープは好きじゃないと考える人がいて、ウミガメ好きの中には謎解きは好きじゃないと考える人がいます。このすれ違いはなぜ起きるのでしょう。
ここで、さきほど述べた導線不足という批判を思い出してください。
謎解きというものは、それがどんなに高難易度なものであっても、正解までの道が準備されているのが普通です。
それに対して、『ウミガメのスープ』には、導線なんてものはありません。
ウミガメのスープには質問という無敵のツールがあり、どんなにつかみようのなく見える問題でも、質問を繰り返していけば解くことができます。特に注目すべきなのは、ウミガメのスープでは「〇〇は重要ですか?」といったメタ的な質問が可能だということです。これは、謎解きにおいて重要性を測る指標が、いかに重要そうに語っていたかしか存在せず、「司会がここ強調してたから、たぶんここ関係で二段落ちがあるんだろうな」みたいなメタ推理が後ろめたいものとして感じられるのとは対照的です。*9
また、ウミガメのスープは別解が生まれうるという批判を受けることもあります。しかし私に言わせれば、ウミガメのスープで別解は生まれようがありません。出題者がNOと答えた瞬間に、それが答えでないことは確定できるためです。むしろ、謎解きこそ答えに確実性がないと言えます。たとえば三つの例示において「それぞれのイラストの個数番目を読むと答えが現れる」という法則が成立するとして、四つ目にもそれが適応できる100%の根拠はないわけです。それこそ暗躍が「それであってますよ~」と口を挟まない限りは。
より抽象的な言い方をすると、ウミガメのスープは出題者の対話という高次な世界でのゲームであり、謎解きはゲーム盤の上で行われる体感的なゲームであると言えます。
それはつまり、どういうことでしょう?
わかりません。
自分でも何を言ってるかわからなくなってきました。
謎解き的なウミガメ
ウミガメと謎解きの間には溝があることがなんとな~くわかったかと思いますが、実際のところ両者の定義は曖昧で、そもそも簡単に二分できるものではありません。
私の個人の意見としては、
①出題者へ質問をして物語を解き明かしていくゲームで、
②解くために柔軟な発想が必要なもの
は全てウミガメのスープです。
つまり、
上記のような手紙をもらった男は恐怖した。一体なぜ?
いざ実食
ここでいろんな人のいろんな面白い問題を紹介していこうと思ってたんですが、あんまり他人の問題を勝手に上げるのもどうかな~って気がしてきたので、やめにします。*11
代わりに、許可を取る必要のない問題*12を紹介します。
色ものスープ
まず一問目、めちゃくちゃウミガメっぽくない問題です。
東洋の妖怪達と、西洋の怪物達との間で、モンスター界の覇権を争う東西戦争が行われることになりました。
妖怪軍のトップである鬼は妖怪の日である8月8日を決戦の日としようと提案しましたが、怪物軍のトップである吸血鬼は〇月▢日でなければ困る、とそれを却下しました。
〇と▢には何が入るでしょう?
正直、これは物語の真相云々よりむしろなぞなぞのようなもので、私も本当にウミガメのスープとして紹介してよいのかわからないでいます。
少なくとも、これを謎解きだと主張してTwitterXに上げたとして、誰も文句は言わない気がします。まあつまり、ウミガメと謎解きには重なる部分があるってことですね。*13
この問題、実際にサイトで出題されたときは20人中14人がスナイプ(一発正解)していたので、みなさんも問題文だけ見て解けるんじゃないでしょうか。質問せずに解けてしまうのはウミガメとしてはよろしくないのですが。
答えは載せないのでぜひリンクを飛んで確認してください!
もう一問、次は出題形式が特殊な問題を出します。
こんな風に、画像を使ったウミガメのスープなんかもあります。*14さっきの一枚謎スープも画像がありましたね。
こちらも3人の参加者にスナイプされていますが、これはスナイプできた人たちが凄すぎるだけで、質問なしで解くことはなかなかできないんじゃないかなと思います。
(こう言えばみんな頑張って解こうとしてくれるはず……)
問題文が一部異なっていますが、こちらもリンクを飛んでスクロールすると答えを確認できます!
閑話
そういえば、らてらては最近リドラの謎解きチャンネルで取り上げられたことがありました。
ウミガメのスープ、らてらての魅力を伝えるには、こんな記事をちまちま書くよりも、この動画を見てもらった方が早いような気がしてなりません。
この動画の最終問題は、私がサイト内で最も面白いと思っている天才的な問題なので、みなさん解いてみてください。動画を停止してでも、ぜひ自力で答えに辿りついてほしいです。*15
正統派スープ
ウミガメのスープは変なのばっかりだと思われても困るので、ちゃんとしたウミガメっぽいウミガメも紹介します。
カメコの息子は、売れっ子のミュージシャンになりたいという夢を抱いていた。
(息子に大した才能は無い。その夢は現実的じゃないだろう)
と考えたカメコは、「応援しています」と紙に書いて息子に渡した。
一体どうして?
ちゃんとしたウミガメってことは、質問せずに解けるような問題じゃないってことです。
解けません。
無理です。
諦めてください。
私としても本当はちゃんと解いてほしいんですが、今回はどうしようもないので気になる人はまたリンクから答えを見てください。
ちなみに少し解説すると、この問題は手紙の内容ではなく筆跡が意味を持つという発想の転換(ネタバレ防止のため白文字)がやりたくて作った問題です。試行錯誤の結果、手紙を見て気づく側の人間ではなく、気づかせる側の人間にスポットを当てると面白いのではないかと考えて今の問題文になりました。
このまま続けるとキリがないので、紹介はこれくらいで終わりにします。
ここまで紹介したほかにも、面白い問題は山のようにあるはずです。
月刊らてらてという毎月の最優秀作品を決める企画のバックナンバーを漁ると、上質なスープを見つけやすいのでめちゃくちゃオススメです。
ぜひあなたにとっての最高のスープに出会ってください。
↓ここから月刊らてらてに飛べるよ↓
あと、一人用ウミガメのスープが解けるDEBONOというサイトもあるので紹介しておきます。用意された単語をつなぎ合わせて質問をしていく形式で、時間を気にせず一人で遊べるサイトです。
すごい! 画期的!
↓ここからDEBONOに飛べるよ↓
最後に
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
ウミガメのスープの魅力の一端でも伝わりましたら幸いです。
ウミガメのスープと謎解きに栄光あれ!
Special Thanks
小謎制作:じぶき*16
*1:くらやみポケモン。宝石や宝石型のポケモンを食すという奇妙な生態、手をくねくねと動かす奇怪で愛らしい姿、低種族値悪戯心というロマンの詰まった風変わりな性能、全てが好み。剣盾のセイムビートでは当然、特殊受け・珠アタッカー・雨乞いエスバ完封型など6体のヤミラミを引き連れて参戦した。
*2:バーンこと南雲晴也の必殺技。そもそもに南雲が好きで、この必殺技も大好き。一度でいいから使ってみたい。
*3:あともう一つ挙げるならば、脚注をたくさんつけて遊ぶこと。これは楽しい。
*4:それはさすがに過言だろ!と思う人もいるかもしれないが、実際私はサークルを選ぶ際、どこならウミガメのスープを布教できそうかを基準に選んだ。
*5:『ウミガメのスープ』にこのゲームの名前を背負わせてしまったのは、ウミガメ界隈最大のミスだと思っている。とはいえ今さらほかの名前で呼びはしないが。
*6:とはいえ、私もらてらてのいち利用者に過ぎないため、私の説明がらてらての公式見解というわけではない。
*7:こんな言葉人生で初めて使った。
*8:たとえば、「動物を問題文中で”男”と表現してよいか」「殺される演技をした人について”死んでしまった”と表現してよいか」など、流派によって許容したりしなかったりする。らてらては比較的そのあたりの表現には厳しい界隈。詳しくは非推奨問題例を参照。
*9:そういうサガなのか、謎クラはウミガメのスープ中でも「重要ですか?」系の質問は避けたがる傾向がある気がする。
*10:とはいえ、質問をせずとも簡単に解けてしまう問題はよいスープではない。小謎を解けばそれで終わるというのはまるで大謎のない謎解き公演のようで、呆気なさすぎる。
*11:規約によると、出典さえ明示すれば転載は認められてはいるらしい。
*12:つまり、自作のスープ。
*13:謎解きの定義次第では、ウミガメは謎解きの部分集合だ、と言っても正しい気がする。
*14:ちなみに、動画を使ったウミガメはまだ見たことがない。ファーストペンギンになるのは、これを読んでいる君だ。
*15:最近謎解きに触れる機会は多いが、この問題を超える瞬間最大風速のひらめきはそうそうない。
*16:答えがコロスになる一枚謎を作ってほしいとお願いしたら、ものの数分であれを作ってくれた。AnotherVisionの謎制作陣の未来は安泰である。